古代文字とロハス  文字から読み解く古代人の生活や自然観は現代の我々にヒントを与えてくれる。吉川まみの連載コラム。

「水」 生命の源

画像:古代文字 「水」
文字の意味:川の流れをかたどった文字

水くさい・水をさす・水にながす・水があわない
水に慣れる・水を向ける・水を打ったよう…
水を使った言葉がたくさんあります。

3月22日は「世界水の日」World Day for Water
水資源の保全・開発などへの啓発のために
リオ地球サミットが開催された1992年に定められた記念日です。

日本では、古代に稲作が伝来し、農業とともに水利用の歴史がはじまりました。
昔は天水を利用した「ため池」による水田農業。
次第に河川利用や治水工事などによって、新田開発が進みました。
ダムなどの大規模な水資源の開発がおこなわれるようになったのは、近代になって工業がさかんになって、大量の工業用水が必要になってからのことです。
そして、戦後の高度経済成長と人口増加によって水需要は急激に増大し、水資源の総合的な開発がおこなわれるようになりました。
現在、年間の降水量は約6,500億m3で、そのうち約35%は蒸発散し、残りの約4,200億 m3が利用可能な水、実際に使われている水の量はそのうちの835 億m3だそうです。

日本は雨も多く、水の豊かな国ですが、いま世界は深刻な水問題に直面しています。
とくに開発途上国を中心に、人口爆発と経済開発によって、31カ国が水不足の問題に直面し、さらに2025年には50カ国近い国々が水不足に陥ると考えられています。
水不足は、安全な水を確保できずに蔓延する病気や、過度な開発による地下水の枯渇、
森林伐採による洪水被害の多発、地球温暖化の加速化などなど、人々の暮らしの水から生態系にいたるまでさまざまな問題を発生させていきます。
でも、環境問題は、どこが原因でどこが結果というようにはっきりできる問題ではありません。
途上国も先進国もおなじように地球全体が相互にかかわりあって生まれる問題。
食料の自給率が30%しかない日本は、日本は食料を外国から輸入することで、毎年、琵琶湖の2.5杯分もの水を輸入している計算になるらしいです。
小麦1キロを作るのに水2トン、牛肉1キロだと2万トンの水が必要だそうです。(ECO学習ライブラリーより)
地球も、私たちの身体も、7割が水。
水は生命の源だから、安全できれいな水の確保が絶対に必要なのです。
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皇居のお堀

「米」 お箸の国の主食

画像:古代文字「米」
文字の意味:禾(か)に穀実のついている形をしめした象形文字

日本の主食、お米。
かつて、調味料メーカーのTVコマーシャルで「おはしの国の人だもの」というキャッチフレーズがありましたが、日本のアイデンティティをとてもよく象徴しているような感じがしました。

古代文字が使われていた殷代・周代のころ、中国の華北あたりではまだ稲作は始まっていませんでしたが、華南地方では既に水稲栽培が始まっていたそうです。
白川静先生の『字統』に、江漢域の“屈家嶺”(くつかれい)という古文化でおこなわれていた水稲栽培の米種は、日本種と同じであることが確かめられているとあります。

日本の食糧自給率はいま、35%前後。
昨年は、はじめて「田んぼ国際会議」が日本で開催されました。
「田んぼ」は、環境教育の場でもあり、生物多様性をはじめとする環境保全の場でもあり、
文化的にも社会的にも経済的にも「持続可能な社会」の象徴のひとつ。
そんな環境保全の場である「田んぼ」が担う大きな役割を、アジアモンスーンから発信していこうというものです。今年、8月に第2回「田んぼ国際会議」が開催されます。
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(母の田舎・・・真ん中に小さく見える田んぼ)
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(去年行ったインド農村の田植え)
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(水牛が耕運機!)

「食」 スロー・フードと食育

画像:古代文字「食」
文字の意味:食べ物を盛る器に蓋をした形の象形文字。

古代の人々はどんなものを食べていたのでしょう?

 古文字学者の白川静先生によると、「当時の生産手段は農耕を主とするものであった」(『甲骨文の世界』第5章社会と生活p.184より)そうです。古代文字には、米や粟、麦といった穀物の文字がいくつも残っています。
農業は自然に左右されますから、古代人たちはいつもいつも長雨や旱魃(かんばつ)を心配し、神さまに豊作を祈っていました。たとえば「寿」という文字は、田んぼの畦で豊作神さまに祈る様子をあらわした文字で、他にも、農耕儀礼にまつわる古代文字がたくさんあります。農耕に使う鋤は、神聖なものとして祭儀に用いられたりしました。
この「食」の文字のように蓋付きの器に盛られたご飯を食べられたのは王の一族くらいだったのでしょう。庶民はきっと簡素な食卓だったに違いありません。だけど、自然の恵みへの感謝の気持ちはきっとこんなふうに豊かだっただろうと思います。

 “食べる”といえば、小さいころ私の母は、私が何か食べ物を食べるときにはいつでも仕事の手を休めて私の正面に座って、食べ終わるまで何もしないでいてくれました。朝ごはんを食べるときも、お昼ご飯も、そしておやつの時間も、何かを食べ物を口に運ぶとき、ひとりだったことはありません。
大人になってそのことを母に話すと、あらぁそうだったかしらぁ?と、まったく意識もしていなかったことのようです。でも母親の愛情というのはこんな無意識なことや、他にも、まったく気にも留めないようなあれこれのなかに横たわっていたんだなと思います。ごちそうでもなく、何か特別な会話をするわけでもないけれど、ムシャムシャと咀嚼する私のひと噛みひと噛みが、母にとっての大切な事のようでした。そんな安心感が何よりのビタミンだったと思います。食育の原点は、実はこんなところにあるのかもしれません。
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 スローフードとは、ファーストフード(fast food)に対して、伝統的な食文化を大切にしながら、食事をゆったり楽しむことをいいます。スローフード運動は、1986年、イタリア・ピエモンテ州の小さな町の食文化雑誌の編集者が作った、「アルチ・ゴーラ」という美食の会のメンバーが、バラエティ豊かな地域の食を再発見し、これを愉しみながら、人が豊かに、そして平和に生きていくうえで欠かすことのできない「食の喜び」を取り戻そうと「スロー・フード」の大切さを呼びかけたことに始まるといわれています。 
大量生産、大量流通、食品添加物による「食の均質化」や、遺伝子組み換え作物などの食に対する不安の増大、BSE(牛海綿状脳症)の蔓延による危機感、更には環境問題の深刻化などにともなって、食生活だけでなく、ライフスタイルそのものを問い直すエコロジー運動として、世界的なムーブメントとなっています。2004年には日本でも「スロー・フード・ジャパン」が組織され、「有機農業」や「地産地消」などを推進しています。「地産地消」というのは「地域生産、地域消費」の略語で、地域で生産された農林水産物等をその地域で消費することを意味する言葉です。
 近年、食品に対する安全・安心志向の高まりや、食料輸送等による環境負荷の軽減(フードマイレージの低減)などの面で注目されるようになりました。
日本では、平成17年に「食育基本法」というのが成立したのをご存知ですか。「食育」とは、「食育とは、国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習等の取組みを指します。」 この「食育」の“食生活指針”には、食文化や地域の産物を活かし、食料自給率を高め、フードマイレージを小さくすることによって、地球環境の保全にも役立てるということや、調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく、といような「スロー・フード」や「地産地消」の哲学が盛り込まれています。
「食育」という言葉、実はすでに明治時代から使われていたそうですが、環境問題が顕在化してきた現代、よりいっそう必要性を増しているのだと思います。

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中国・西安の朝一の準備

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